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防風通聖散の効果は本当?
漢方薬剤師が教える正しい使い方と体質の見極め方

30秒で理解できる要点

  • 防風通聖散は18種類の生薬を配合した800年の歴史をもつ漢方薬で、脂肪分解・便秘改善・むくみ軽減の効果がある
  • 「実証(体力充実)」かつ「熱証(暑がり)」の方に向いており、体質が合わないと効果が出にくく副作用も出やすい
  • 飲むだけで痩せることはなく、食事のバランスと適度な運動の組み合わせが必要
  • 下痢・腹痛などの副作用のほか、まれに間質性肺炎や肝機能障害など重篤な副作用の報告もある
  • 体質に合う漢方薬を選ぶことが効果を実感する第一歩。迷ったら漢方の専門家に相談を

「防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)って、本当にダイエットに効くの?」「お腹の脂肪を落とす漢方薬と聞いたけれど、副作用が心配…」

防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)って、本当にダイエットに効くの?

防風通聖散は、18種類の生薬を配合した漢方薬で、肥満症や便秘、むくみなどの改善に使用される医薬品です。SNSや広告で「痩せる漢方」として注目を集めていますが、漢方薬は体質に合わなければ効果を実感しにくいだけでなく、副作用のリスクも高まります

本記事では、1950年創業・漢方相談歴75年以上の天心堂薬局が、防風通聖散の効果のメカニズムから、合う人・合わない人の見極め方、効果を高める生活習慣、副作用の注意点まで、漢方の専門家として正直にお伝えします。

この記事でわかること

  • 防風通聖散とは?800年の歴史をもつ漢方薬
  • 防風通聖散の効果|「脂肪を落とす」はどこまで本当?
  • 18種類の生薬成分とその働き
  • 防風通聖散が合う人・合わない人の特徴
  • 正しい飲み方と効果を高める生活習慣
  • 副作用とリスク|飲み続けるとどうなる?
  • 防風通聖散と他の漢方薬の違い・選び方
  • よくある質問(Q&A)

防風通聖散とは?800年の歴史をもつ漢方薬

防風通聖散は、中国の金の時代(12世紀)に劉完素(りゅうかんそ)が著した漢方の古典『宣明論(せんめいろん)』に記載された処方です。「防風」は主薬となる生薬の名前、「通聖」は「聖人に通じるほどすぐれた薬」という意味をもち、800年以上にわたって使い続けられてきた歴史ある漢方薬です。

体力が充実していて、腹部に皮下脂肪が多く、便秘がちな方の肥満症、高血圧に伴う動悸・肩こり・のぼせ・むくみ・便秘、蓄膿症(副鼻腔炎)、湿疹・皮膚炎、ふきでもの(にきび)に効果が認められた医薬品です。

現代では「痩せる漢方」「ダイエット漢方」として広く知られていますが、もともとの処方意図は「体内に溜まった余分な熱と老廃物を、汗・便・尿の3つの経路から排出する」こと。単に脂肪を燃焼させるだけの薬ではなく、体全体の巡りを整えて、余分なものを出す力を取り戻す処方です。

市販品としてはツムラ、クラシエ、小林製薬(ナイシトール)、生漢煎などのメーカーから販売されており、医療機関でも処方されます。いずれも防風通聖散という同じ処方をベースにしていますが、エキス含有量やタイプ(顆粒・錠剤)が異なります。

防風通聖散の効果|「脂肪を落とす」はどこまで本当?

効果①:お腹の脂肪の分解と代謝促進

防風通聖散のもっとも注目される効果が、お腹周りの皮下脂肪への作用です。マオウ(麻黄)が交感神経を刺激して脂肪の分解を促し、新陳代謝を高めます。横浜市立大学の研究では、食欲増進ホルモン「グレリン」の分泌を低下させ食欲を抑制する作用も確認されています。

また、362の臨床論文を対象としたメタアナリシスでは、防風通聖散の服用によりBMIが有意に減少したことが報告されています。体重管理を目的とした使用にも根拠がある漢方薬といえますが、万能ではありません。

ただし注意が必要です

防風通聖散が助けるのは脂肪の「分解」です。分解された脂肪を「燃焼」させるには、適度な運動が必要です。飲むだけで痩せる薬は存在しません。ダイエット目的で使用する場合も、食事のバランスと運動を組み合わせることが大切です。

効果②:便秘の改善と老廃物の排出

ダイオウ(大黄)やボウショウ(芒硝・硫酸ナトリウム)が腸の蠕動運動を活発にし、便通を改善します。多くの方が服用開始から1週間程度で便秘の変化を実感しています。便秘が改善されると、体内の老廃物が排出されやすくなり、肌荒れやにきびの軽減にもつながります。

効果③:むくみの軽減

ビャクジュツ(白朮)やカッセキ(滑石)などの利尿作用をもつ生薬が、体内の余分な水分を排出してむくみを軽減します。夕方になると脚がパンパンになるような水分の停滞が気になる方に適しています。

効果④:肩こり・のぼせ・皮膚症状の改善

防風通聖散は代謝を高め、体内の巡りを整える処方です。高血圧や肥満に伴う動悸、肩こり、のぼせといった症状の改善も効能として認められています。また、体内の余分な熱を取る作用があるため、湿疹・皮膚炎やにきびにも効果が期待できます。蓄膿症(副鼻腔炎)にも適応があります。

18種類の生薬成分とその働き

防風通聖散は、漢方薬のなかでも構成生薬の数が多い処方です。18種類の生薬がそれぞれ異なる役割を担い、組み合わさることで複合的な効果を生み出しています。

区分生薬名主な働き
代謝・脂肪マオウ(麻黄)交感神経を刺激し脂肪の分解・燃焼を促進。発汗作用
レンギョウ(連翹)体内の熱を冷まし代謝を促す。抗炎症作用
ショウキョウ(生姜)体を温め血行を促進。代謝アップを助ける
便通ダイオウ(大黄)腸の蠕動運動を活発にし便通を改善
ボウショウ(芒硝)腸内の水分量を調整し便を柔らかくする
利尿・水分ビャクジュツ(白朮)利尿作用で余分な水分を排出しむくみを軽減
カッセキ(滑石)利尿・清熱作用で余分な熱と水分を排出
清熱・抗炎症オウゴン(黄芩)抗炎症作用。体内の余分な熱を冷ます
サンシシ(山梔子)清熱・鎮静作用。体内の炎症を抑える
セッコウ(石膏)体の深部の熱を冷ます強力な清熱作用
ケイガイ(荊芥)発汗・解表作用。皮膚の症状にも
ハッカ(薄荷)清涼感で頭をすっきりさせる。解熱作用
血行・補血ボウフウ(防風)主薬。発汗・解熱で体表の邪気を追い払う
トウキ(当帰)血を補い巡りを改善。女性に重要な生薬
シャクヤク(芍薬)筋肉の緊張をほぐし痛みを和らげる
センキュウ(川芎)血行促進。頭痛や肩こりの軽減
調和キキョウ(桔梗)去痰作用。他の生薬の効果を上半身に導く
カンゾウ(甘草)他の生薬の調和役。胃腸を保護し全体のバランスを整える

これらの生薬が相互に作用することで、脂肪分解・便通改善・水分排出・炎症抑制の4つの方向から体のバランスを整えます。単一成分の西洋薬にはない、漢方薬ならではの「体全体を調整する」アプローチが防風通聖散の特徴です。

防風通聖散が合う人・合わない人の特徴

漢方では、その人の体質を「証(しょう)」と呼び、薬を選ぶ最大の判断基準とします。防風通聖散は「実証(じっしょう)」かつ「熱証(ねっしょう)」のタイプに適した処方です。では具体的に、どんな人に合うのでしょうか。

防風通聖散が効果を実感しやすい人

防風通聖散が合わない人の特徴

こんな方は避けたほうがよいです

  • 体力がなく疲れやすい(虚証タイプ)
  • 胃腸が弱く、すぐにお腹をこわす
  • 冷え性で手足が冷たい(寒証タイプ)
  • 痩せ型で皮下脂肪が少ない
  • 下痢しやすい・軟便傾向
  • 食欲が少なく食べる量が少ない

体質に合わない方が無理に服用を続けると、下痢、腹痛、胃の不快感などの副作用が強く出やすくなります。自分がどちらのタイプかわからない場合は、医師や薬剤師に相談したうえで判断することが大切です。

漢方薬剤師のワンポイント|天心堂薬局

当薬局にご相談に来られる方のなかにも、「ネットで評判だから」と防風通聖散を飲み始めたものの、下痢が止まらなくなったという方がいらっしゃいます。そうした方はたいてい「虚証」や「寒証」のタイプで、そもそも防風通聖散が合わない体質なのです。

漢方薬は「症状」ではなく「体質」で選ぶもの。防風通聖散が合わなかった方でも、体質に合う別の漢方薬で改善できるケースは多くあります。

正しい飲み方と効果を高める生活習慣

防風通聖散の正しい服用方法

防風通聖散は、一般的に1日3回、食前または食間(空腹時)に服用します。「食前」とは食事の約30分前、「食間」とは食事と食事の間(食後約2時間)のことです。食後ではありませんのでご注意ください。

漢方薬は空腹時に飲むことで生薬の成分が吸収されやすくなります。水またはお湯で服用してください。お湯で溶かして飲むと、漢方本来の効果が発揮されやすいとされています。

15歳未満の方は服用できません。用法・用量は製品によって異なりますので、必ず添付文書を確認し、記載どおりに服用してください。

効果を実感するまでの目安期間

症状目安期間
便秘1週間程度
むくみ1ヶ月程度
肥満症・お腹の脂肪1~3ヶ月
肌荒れ・にきび1~2ヶ月

漢方薬は体質を整えていくものなので、継続して服用することが大切です。ただし、1ヶ月服用しても何も変化を感じない場合は、体質に合っていない可能性がありますので、医師または薬剤師にご相談ください。

防風通聖散の効果を高める生活習慣

防風通聖散は薬の力だけで体質を変える「魔法の薬」ではありません。以下のような生活習慣の改善と組み合わせることで、効果がより発揮されます。

無理のない範囲で運動するとリフレッシュになります

副作用とリスク|飲み続けるとどうなる?

起こりうる一般的な副作用

防風通聖散は医薬品です。体質に合っていても、次のような副作用が起こることがあります。

  • 下痢・軟便・腹痛:ダイオウ(大黄)の排便促進作用による。もっとも多い副作用
  • 食欲不振・胃の不快感・吐き気:胃腸への刺激
  • 発疹・かゆみ:生薬成分へのアレルギー反応
  • 動悸・めまい:マオウ(麻黄)による交感神経への刺激

症状が現れた場合は服用を中止し、医師または薬剤師にご相談ください。

注意すべき重篤な副作用

すぐに服用を中止し、受診してください

  • 間質性肺炎:せき・息切れ・発熱が続く場合
  • 偽アルドステロン症:手足のだるさ・しびれ・筋肉の痙攣(カンゾウ〈甘草〉の長期服用に関連)
  • 肝機能障害:全身のだるさ・発熱・黄疸
  • 腸間膜静脈硬化症:長期服用による腹痛・下痢・便秘の繰り返し

まれですが、これらの報告があります。長期にわたって飲み続ける場合は、定期的な健康チェックを受けることが重要です。

服用を避けるべき方

  • 妊娠中の方:ダイオウに子宮収縮作用があり、流早産のリスクがある
  • 授乳中の方:ダイオウの成分が母乳を通じて乳児の下痢を起こす可能性
  • 胃腸が弱い方:下痢・腹痛が強く出やすい
  • 高血圧の治療中の方:マオウが血圧に影響を与える可能性
  • 他の下剤を使用中の方:排便作用が過剰になるリスク
  • 他の漢方薬を服用中の方:マオウやカンゾウ(甘草)が重複する可能性

自己判断で服用を始めるのではなく、とくに治療中の持病がある方は必ず医師に相談してから使用してください。

防風通聖散と他の漢方薬の違い・選び方

「お腹の脂肪が気になる」「ダイエットしたい」と思っても、防風通聖散がすべての方に適しているわけではありません。体質や症状によって、より適した漢方薬が存在します。

防風通聖散

向いている体質:体力充実・暑がり・便秘がち・食べ過ぎ(実証・熱証)

主な効果:脂肪分解、便秘改善、むくみ軽減

防已黄耆湯

向いている体質:疲れやすい・水太り・汗かき・むくみやすい(虚証)

主な効果:水分代謝改善、むくみ軽減、肥満症

大柴胡湯

向いている体質:体力充実・ストレス多い・便秘がち・脇腹の張り

主な効果:ストレス性の過食抑制、脂質代謝改善

当帰芍薬散

向いている体質:冷え性・貧血傾向・痩せ型・疲れやすい(虚証・寒証)

主な効果:血行改善、冷え改善、むくみ軽減

たとえば、「むくみが気になるけれど、胃腸が弱くて便秘ではない」という方には防風通聖散ではなく防已黄耆湯のほうが適しています。また、冷え性で痩せ型の方がダイエット目的で防風通聖散を飲んでも、体質が合わないため効果は期待しにくいでしょう。

漢方薬剤師のワンポイント|天心堂薬局

「漢方でダイエットしたい」と来局される方には、まず体質を丁寧にお聞きしたうえで、防風通聖散・防已黄耆湯・大柴胡湯のどれが合うかをご提案しています。同じ「痩せたい」という悩みでも、体質によって最適な漢方薬はまったく異なります。

市販の漢方薬を自分で選ぶ場合も、上の表を参考に、自分の体質タイプに近い処方を選んでみてください。判断に迷う場合は、漢方に詳しい薬剤師への相談をおすすめします。

市販の防風通聖散を選ぶときのチェックポイント

防風通聖散は多くのメーカーから販売されています。製品を選ぶ際は、以下の3つのポイントを確認してください。

  • 満量処方かどうか:原生薬の配合量が最大のものが「満量処方」。1/2処方や3/5処方のものより効果が期待できますが、その分副作用のリスクも高まります
  • 顆粒か錠剤か:顆粒のほうが吸収が早いとされますが、漢方の味が苦手な方には錠剤タイプが飲みやすいでしょう
  • 続けやすい価格か:漢方薬は継続が大切です。購入時は1日あたりのコストを計算し、無理なく続けられる製品を選びましょう

よくある質問(Q&A)

防風通聖散はどのくらいで効果を実感できますか?

個人差がありますが、便秘には1週間程度、肥満症やむくみには1~3ヶ月を目安に様子をみてください。1ヶ月続けても変化がない場合は体質に合っていない可能性があるため、医師や薬剤師にご相談ください。

防風通聖散を飲むだけで痩せますか?

飲むだけでは痩せません。防風通聖散は脂肪の分解を助ける漢方薬ですが、分解された脂肪を燃焼するには運動が必要です。バランスのよい食事と適度な運動を組み合わせることで効果が発揮されます。

防風通聖散と他の薬を一緒に飲んでも大丈夫ですか?

他の医薬品との併用は注意が必要です。とくに他の漢方薬をすでに服用中の場合、マオウ(麻黄)やカンゾウ(甘草)といった生薬が重複して過剰摂取になるリスクがあります。必ず医師または薬剤師に相談してください。

妊娠中・授乳中でも服用できますか?

妊娠中は避けてください。ダイオウ(大黄)に子宮収縮作用があり、流早産のリスクがあります。授乳中もダイオウの成分が母乳を通じて乳児に下痢を起こす可能性があるため、服用は控えましょう。

食後に飲んでしまった場合はどうなりますか?

大きな問題はありませんが、吸収効率がやや下がる可能性があります。食前(食事の30分前)または食間(食後2時間)の空腹時に服用するのが効果的です。次回から正しいタイミングで飲むようにしてください。

防風通聖散を長期間飲み続けても安全ですか?

長期服用では偽アルドステロン症や腸間膜静脈硬化症などのリスクがまれに報告されています。漫然と飲み続けるのではなく、定期的に医師の診断を受けて体調の変化を確認することが必要です。自己判断での長期服用は避けてください。

まとめ|防風通聖散の効果を正しく理解して、自分に合った漢方選びを

防風通聖散の効果を正しく理解して、自分に合った漢方選びを

防風通聖散は、18種類の生薬を配合した歴史ある漢方薬で、お腹周りの脂肪の分解促進、便秘やむくみの改善、肩こり・のぼせなどの諸症状に効果が認められた医薬品です。

ただし、もっとも大切なのは体質との相性です。防風通聖散が向いているのは、体力充実・便秘がち・暑がり・お腹に脂肪が多い「実証・熱証」タイプの方。体力がない方や胃腸が弱い方、冷え性の方は合わない可能性が高く、副作用のリスクもあります。

効果を最大限に引き出すためのポイントは3つです。

「漢方薬を試してみたいけれど、どれが自分に合うかわからない」という方は、漢方に詳しい薬剤師への相談が一番の近道です。体質に合った漢方薬を選ぶことが、効果を実感するための第一歩になります。

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※この記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、医学的なアドバイスを提供するものではありません。具体的な症状や治療については、専門家にご相談ください。
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監修:天心堂薬局(福岡市中央区大名1丁目15番7号)|1950年創業・漢方専門薬局|日本中医薬研究会会員店|全国実力薬局100選 子宝・不妊漢方部門認定