この記事の要点
- ✓ 防風通聖散と防已黄耆湯は向いている体質がまったく異なる
- ✓ 防風通聖散は実証(体力充実・便秘・暑がり)タイプ向け
- ✓ 防已黄耆湯は虚証(疲れやすい・水太り・汗かき)タイプ向け
- ✓ 体質に合わないと効果が出にくく副作用のリスクも
- ✓ 迷ったら漢方の専門家に相談するのが一番の近道
「防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)と防已黄耆湯(ぼういおうぎとう)、ダイエットにはどっちがいいの?」——漢方薬でお腹の脂肪やむくみを改善したいと考えたとき、多くの方がこの2つで迷います。

どちらも肥満症に使われる漢方薬ですが、向いている体質はまったく異なります。体質に合わないものを選ぶと、効果を実感しにくいだけでなく、副作用のリスクも高まります。
この記事では、1950年創業の漢方専門薬局・天心堂薬局が、防風通聖散と防已黄耆湯の違いを「体質」「効果」「副作用」の3つの軸でわかりやすく比較し、あなたに合った漢方薬の選び方をお伝えします。
この記事でわかること
- ▸ 防風通聖散と防已黄耆湯の基本情報
- ▸ 効果の違いを比較
- ▸ 体質別の選び方|あなたはどっちのタイプ?
- ▸ 副作用と注意点の違い
- ▸ 大柴胡湯という第3の選択肢
- ▸ 効果を高める服用方法と生活習慣
- ▸ よくある質問(Q&A)
防風通聖散と防已黄耆湯の基本情報
まずは2つの漢方薬の基本的な情報を整理しましょう。
| 防風通聖散 | 防已黄耆湯 | |
|---|---|---|
| 生薬数 | 18種類 | 6種類 |
| 歴史 | 約800年(12世紀・中国) | 約1,800年(3世紀・中国) |
| 分類 | 第2類医薬品 | 第2類医薬品 |
| 向く体質 | 実証(体力充実) | 虚証(体力やや低下) |
| 主な効果 | 脂肪分解・便秘改善・代謝促進 | 水分代謝改善・むくみ軽減 |
| 肥満タイプ | 固太り・お腹の皮下脂肪 | 水太り・下半身のむくみ |
| 主な市販品 | ナイシトール、コッコアポEX、生漢煎など | コッコアポL、ビスラット、ツムラ20番など |
防風通聖散の概要と成分
防風通聖散は、18種類の生薬を配合した漢方薬です。マオウ(麻黄)が代謝を高めて脂肪の分解を促し、ダイオウ(大黄)やボウショウ(芒硝)が便通を改善し、体内の余分な熱と老廃物を汗・便・尿の3つの経路から排出します。
体力が充実していて、腹部に皮下脂肪が多く、便秘がちな方の肥満症・高血圧に伴う動悸やのぼせ・肩こり・むくみに効果が認められています。いわゆる「固太り」タイプの方に向いた処方です。
防已黄耆湯の概要と成分
防已黄耆湯は、防已(ボウイ)・黄耆(オウギ)・白朮(ビャクジュツ)・生姜(ショウキョウ)・大棗(タイソウ)・甘草(カンゾウ)の6つの生薬で構成されたシンプルな処方です。
体内の余分な水分を排出して水分代謝を改善するのが主な作用で、疲れやすく汗をかきやすい方の肥満症・むくみ・関節の腫れや痛み・多汗症に効果があります。いわゆる「水太り」タイプの方に向いています。
効果の違いを比較|防風通聖散と防已黄耆湯は何が違う?
同じ「肥満症」に使われる漢方薬でも、アプローチの方向性がまったく異なります。
| 効果の方向 | 防風通聖散 | 防已黄耆湯 |
|---|---|---|
| 脂肪への作用 | ◎ 脂肪分解を促進 | △ 直接的な脂肪分解作用は弱い |
| 便秘改善 | ◎ ダイオウ・ボウショウで排便促進 | ✕ 便秘改善の作用はなし |
| むくみ | ○ 利尿作用あり | ◎ 水分代謝改善が主な効果 |
| 代謝促進 | ◎ マオウが代謝を高める | ○ 穏やかに体の巡りを整える |
| 発汗 | 汗をかかせて排出する | 多すぎる汗を抑える |
| 関節痛・腫れ | ✕ | ◎ 関節の水たまり・痛みに有効 |
ひとことでまとめると、防風通聖散は「余分な脂肪と熱を出す」漢方薬、防已黄耆湯は「余分な水を出す」漢方薬です。同じダイエット目的でも、作用のメカニズムが根本的に異なります。
体質別の選び方|あなたはどっちのタイプ?
漢方の世界では、薬を選ぶとき「症状」よりも「体質(証・しょう)」を重視します。防風通聖散と防已黄耆湯、どっちが自分に合うかは、自分の体質タイプを知ることが出発点です。
防風通聖散タイプ(実証)
- 体力がある・がっちり体型
- お腹周りの脂肪が気になる
- 便秘がち(2~3日に1回以下)
- 暑がりでのぼせやすい
- 食欲旺盛・食べ過ぎがち
- 肩こりがある
- 赤ら顔・にきびが出やすい
防已黄耆湯タイプ(虚証)
- 疲れやすい・体力に自信がない
- 下半身が太りやすい・水太り
- 便秘ではない(むしろ軟便傾向)
- 汗をかきやすい(多汗症気味)
- むくみが気になる(夕方の脚)
- 関節が痛む・腫れやすい
- 色白で肌が柔らかい
チェックが多いほうが、あなたに合った漢方薬の目安です。
体質を間違えると逆効果になることも
虚証の方が防風通聖散を飲むと、胃腸への負担が大きく、下痢・腹痛・食欲不振などが起こりやすくなります。逆に、実証の方が防已黄耆湯を飲んでも、脂肪の分解は期待しにくく、効果を実感できない可能性があります。
体質に合った漢方薬を選ぶことが、効果を実感するための第一歩です。
副作用と注意点の違い
どちらも医薬品ですので、副作用のリスクがあります。体質に合った漢方薬でも、知っておくべき注意点があります。
| 防風通聖散 | 防已黄耆湯 | |
|---|---|---|
| よくある副作用 | 下痢・腹痛・軟便・食欲不振 | 胃の不快感・食欲不振・発疹 |
| 重篤な副作用(まれ) | 間質性肺炎・肝機能障害・偽アルドステロン症 | 間質性肺炎・偽アルドステロン症・肝機能障害 |
| 注意が必要な成分 | マオウ(麻黄)→動悸・血圧上昇 ダイオウ(大黄)→妊娠中禁忌 カンゾウ(甘草)→長期使用に注意 | カンゾウ(甘草)→長期使用に注意 |
| 服用を避けるべき方 | 胃腸が弱い方・虚弱体質・妊娠中・高血圧治療中 | 胃腸が特に弱い方・むくみの原因が腎臓や心臓の病気の方 |
| 併用の注意 | 他の漢方薬(麻黄・甘草含有)との重複に注意 | 他の漢方薬(甘草含有)との重複に注意 |
覚えておきたいポイント
防風通聖散は18種類の生薬を含むため副作用の幅が広く、とくに胃腸が弱い方は注意が必要です。防已黄耆湯は生薬6種類とシンプルな処方なので、比較的穏やかな作用ですが、それでも副作用はゼロではありません。
どちらも甘草(カンゾウ)を含むため、両方を同時に服用する併用は推奨されません。偽アルドステロン症(手足のだるさ・しびれ・筋肉のけいれん)のリスクが高まります。
大柴胡湯という第3の選択肢
「防風通聖散も防已黄耆湯もしっくりこない…」という方もいらっしゃいます。そんなとき候補になるのが、大柴胡湯(だいさいことう)です。
| 防風通聖散 | 防已黄耆湯 | 大柴胡湯 | |
|---|---|---|---|
| 体質 | 実証・暑がり | 虚証・汗かき | 実証・ストレス多い |
| 肥満タイプ | お腹の皮下脂肪 | 水太り・むくみ | ストレス太り・脇腹の張り |
| 便通 | 便秘がち | 正常〜軟便 | 便秘がち |
| 特徴的な症状 | のぼせ・肩こり | 関節痛・多汗 | イライラ・肩こり |
| こんな方に | 食べ過ぎ・便秘 | 疲れやすい・むくむ | ストレスで食べ過ぎ |
大柴胡湯は、ストレスが原因で食べ過ぎてしまう方や、脇腹が張って苦しい方に適しています。体力がある方向けなので、虚証の方には向きません。

「痩せたい」という悩みは同じでも、その原因は人それぞれ異なります。食べ過ぎなのか、水分代謝の低下なのか、ストレスなのか。漢方はその「原因」に合わせて薬を選ぶからこそ、体質に合えば改善を実感しやすいのです。
3つの漢方薬を並べてみても「自分がどれに合うかわからない」という方は多いです。体質の見極めは漢方の専門家に任せていただくのがおすすめです。
効果を高める服用方法と生活習慣
正しい飲み方
防風通聖散・防已黄耆湯ともに、1日3回、食前(食事の30分前)または食間(食後2時間)の空腹時に服用します。漢方薬は空腹時に飲むことで生薬の成分が吸収されやすくなります。水またはお湯で服用してください。
顆粒タイプと錠剤タイプがありますが、顆粒のほうが吸収が早いとされています。漢方の苦味が気になる方は錠剤を選ぶとよいでしょう。
併せて取り組みたい生活習慣
防風通聖散を飲む方は
食事のコントロール:食べ過ぎを防ぎ、油っこいものを控える。食物繊維を意識して摂り、腸内環境を整える
適度な運動:脂肪の分解を助ける漢方薬なので、ウォーキングなど有酸素運動を組み合わせると効果的
水分補給:利尿・発汗作用があるため、こまめな水分補給を忘れずに
防已黄耆湯を飲む方は
冷えを防ぐ:体を冷やす飲食を控え、温かい飲み物を。水分代謝が低下しやすい体質なので、冷たいものの摂りすぎに注意
無理のない運動:疲れやすい体質なので、ストレッチやヨガなど負担の少ない運動から始める
塩分に気をつける:むくみの原因になる塩分を控えめにし、カリウムの多い食事を意識する
漢方薬は「飲むだけで痩せる薬」ではありません。生活習慣の改善と組み合わせることで、漢方本来の効果が発揮されます。効果の目安は1〜3ヶ月。1ヶ月程度で何も変化がない場合は、体質に合っていない可能性もありますので、医師や薬剤師にご相談ください。
よくある質問
防風通聖散と防已黄耆湯はどっちがダイエットに効きますか?
体質によって異なります。体力があり、お腹に脂肪が多く便秘がちな方(実証タイプ)は防風通聖散、疲れやすく水太り・むくみやすい方(虚証タイプ)は防已黄耆湯が向いています。体質に合ったほうを選ぶことが効果を実感する近道です。
防風通聖散と防已黄耆湯を両方同時に飲んでも大丈夫ですか?
基本的に併用は推奨されません。両方に甘草(カンゾウ)が含まれており、重複すると偽アルドステロン症などの副作用リスクが高まります。どちらか一方を体質に合わせて選びましょう。
自分が実証タイプか虚証タイプかわかりません
漢方に詳しい薬剤師や医師に相談するのが確実です。簡易的には、体力がありガッチリ体型で暑がり→実証、疲れやすく汗かきでむくみやすい→虚証の傾向があります。ただし実際には中間的な方も多いので、専門家の判断を受けることをおすすめします。
防已黄耆湯はどのくらいで効果を実感できますか?
むくみの改善は1〜2週間程度、肥満症への効果は1〜3ヶ月が目安です。漢方薬は体質を整えるものなので、継続して服用することが大切です。1ヶ月飲んでも変化がない場合は、医師や薬剤師にご相談ください。
防風通聖散と防已黄耆湯以外にダイエットに使われる漢方薬はありますか?
大柴胡湯(だいさいことう)があります。ストレスで食べ過ぎてしまう方、脇腹が張るような方に向いています。体力がある方に適した処方です。それぞれの漢方薬には向き不向きがありますので、自分の体質に合ったものを選ぶことが重要です。
まとめ|体質に合った漢方薬を選ぶことが効果への近道
防風通聖散と防已黄耆湯は、どちらも肥満症に使われる漢方薬ですが、向いている体質がまったく異なります。
防風通聖散を選ぶ
- 体力がある(実証)
- お腹の脂肪が多い(固太り)
- 便秘がち
- 暑がり・のぼせやすい
防已黄耆湯を選ぶ
- 疲れやすい(虚証)
- むくみ・水太り
- 便秘ではない
- 汗かき・色白
大切なのは、「どっちが効くか」ではなく「どっちが自分の体質に合うか」という視点です。漢方薬は体質に合えば穏やかに、しかし着実に体を整えてくれます。
「自分がどっちのタイプかわからない」「市販の漢方薬を試してみたけど効果を感じない」——そんな方は、漢方の専門家に相談するのが一番の近道です。

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天心堂薬局は、1950年創業の漢方専門薬局です。
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お電話でのご予約・お問い合わせ:092-751-3007
(平日 10:00〜18:00)
天心堂薬局について
1950年創業。女性の体と心に寄り添い続けて75年。
体質診断
あなたの体質を丁寧に見極めます。同じ肥満症でも、一人ひとり違います。
漢方提案
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経過を見ながら調整。体質改善まで、一緒に歩みます。
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※この記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、医学的なアドバイスを提供するものではありません。具体的な症状や治療については、医師や薬剤師などの専門家にご相談ください。
※効果には個人差があります。
監修:天心堂薬局(福岡市中央区大名1丁目15番7号)|1950年創業・漢方専門薬局|日本中医薬研究会会員店|全国実力薬局100選 子宝・不妊漢方部門認定