この記事の要点
- ✓更年期のダイエットがうまくいかないのは「体質に合った方法が選べていないから」
- ✓漢方では更年期太りを「気滞」「瘀血」「水滞」「血虚」の4タイプで捉える
- ✓タイプごとにおすすめの漢方・食事・運動の優先順位が異なる
- ✓若い頃のような極端な食事制限・急な運動は逆効果になることがある
- ✓まずは自分のタイプを知ることから始めるのが近道
「更年期に入ってから、同じように生活しているのに体重が増えてきた」「若い頃のダイエット方法が、まったく通用しない」——そんなお悩みを抱える40〜50代の女性が増えています。

実は、更年期の体重増加は体質によってアプローチが大きく変わります。漢方の考え方では、同じ「更年期太り」でも体質は4つのタイプに分かれ、それぞれに合ったケアが必要です。やみくもに食事を減らしたり運動を増やしたりしても、うまくいかないのはそのためです。
この記事では、1950年創業の漢方専門薬局・天心堂薬局が、更年期のダイエットを成功に近づけるために知っておきたい体質別のアプローチと、取り入れたい食事・運動・生活習慣をわかりやすく解説します。
目次
- ▸更年期ダイエットがうまくいかない本当の理由
- ▸更年期に太りやすくなる身体の仕組み
- ▸漢方視点で見る更年期太りの4タイプ
- ▸タイプ別・おすすめの漢方と過ごし方
- ▸漢方と一緒に取り入れたい食事・運動・生活習慣
- ▸よくあるご相談
- ▸よくある質問(Q&A)
- ▸まとめ
更年期ダイエットがうまくいかない本当の理由
「食事を減らしているのに体重が減らない」「ウォーキングを始めても結果が出ない」——更年期世代の女性から、このようなお悩みをよく伺います。
若い頃は、少し食事を控えたり運動を増やしたりするだけで、ある程度体重は落ちていたはずです。ところが更年期に入ると、同じ方法がまったく通用しないという現象が起きます。
その理由は、更年期の身体ではホルモンバランス・代謝・自律神経・体質が複雑に絡み合いながら変化しているためです。若い頃と同じ発想で「入ってくるカロリーを減らし、出ていくカロリーを増やせば体重は落ちる」という引き算の発想では、かえって身体に負担がかかり、うまくいかなくなります。
大切なのは、ご自身の体質を見極めて、そのタイプに合ったアプローチを選ぶこと。そのために、まずは更年期に太りやすくなる身体の仕組みを理解していきましょう。
更年期に太りやすくなる身体の仕組み
更年期(一般的に45〜55歳頃)には、女性の身体にさまざまな変化が起こります。更年期の期間や終わりのサインについて詳しくは更年期はいつまで続く?終わりのサインと向き合い方の記事もご参考ください。ここでは、更年期に体重が増加しやすくなる主な原因を4つご紹介します。
エストロゲンの減少
更年期には女性ホルモンの一種であるエストロゲンの分泌量が急激に減少します。エストロゲンには脂質代謝を助けたり、内臓脂肪の蓄積を抑えたりする働きがあるため、減少することで同じ食生活でも太りやすくなると考えられています。
基礎代謝の低下
加齢によって筋肉量が減少すると、何もしなくても消費される基礎代謝が落ちます。20代と比べて50代では、1日の消費カロリーが数百kcal単位で少なくなる方もいらっしゃいます。以前と同じ食事量では、余ったエネルギーが脂肪として蓄積されやすくなります。
自律神経の乱れ
ホルモンの変化は自律神経にも影響を及ぼします。食欲のコントロールが難しくなり、ストレスで食べすぎたり、胃腸の働きが低下して消化吸収のバランスが崩れたりします。
内臓脂肪の増加
エストロゲンの減少により、皮下脂肪よりも内臓脂肪がつきやすくなるのも更年期の特徴です。お腹周りがぽっこりと出てきた、と感じる方が多いのはこのためです。内臓脂肪は見た目だけでなく、健康面にも影響しやすいため、早めのケアが大切です。
※ 個人差があります。ひとつの参考としてご覧ください。
漢方では、この連鎖を「気・血・水のめぐり」の観点から整えていきます。
大切なポイント
更年期の体重増加は、「食べすぎ」や「運動不足」だけが原因ではありません。ホルモン・代謝・自律神経という土台が変化しているため、身体の内側から整えるアプローチが必要になります。漢方が更年期ダイエットに向いているのは、この「内側から整える」という発想にぴったり合うからです。
漢方視点で見る更年期太りの4タイプ
漢方では、同じ「更年期太り」でも体質によって原因が異なると捉えます。天心堂薬局での長年の相談経験から見えてくるのは、更年期の太り方が大きく次の4つのタイプに分かれるということです。
🌀 気滞(きたい)タイプ
ストレスで食べすぎてしまう方。イライラ・ため息が多く、生理前に胸が張りやすい方に多い傾向です。気(エネルギー)の巡りが滞り、感情が食欲に出やすくなっています。
気の巡りを整える🩸 瘀血(おけつ)タイプ
下腹がぽっこり出て、冷えのぼせがある方。生理痛が重く、シミ・クマが気になる方に多い傾向です。血の巡りが滞り、代謝が落ちて余分な脂肪が蓄積されやすくなっています。
血の巡りを整える💧 水滞(すいたい)タイプ
むくみやすく、水太りしやすい方。体が重だるい、雨の日に不調が出る方に多い傾向です。水分代謝が落ちて、余分な水分が身体に溜まりやすくなっています。
水分代謝を整える🌱 血虚(けっきょ)タイプ
疲れやすく、少量でも太ってしまう方。顔色が青白く、髪のパサつきや爪の弱さが気になる方に多い傾向です。血(栄養)が不足して、代謝そのものが落ちています。
血を補う大切なのは、どのタイプにも「正しい攻め方」があるということ。ご自身のタイプを見誤ると、せっかくの食事改善や運動が空回りしてしまうことがあります。
タイプ別・おすすめの漢方と過ごし方
ここでは、4つのタイプごとにおすすめの漢方と、日々の過ごし方のポイントをご紹介します。あくまで一例ですので、実際に漢方を選ばれる際は、薬剤師にご相談ください。
🌀 気滞タイプ|ストレスと上手に付き合う
気滞タイプには、気の巡りを整える漢方が向いています。代表的なものが加味逍遙散(かみしょうようさん)。気の巡りをサポートする漢方として、イライラや気分のゆらぎが気になる方に向いています。
過ごし方のポイントは、ストレスをためこまないこと。深呼吸・ヨガ・軽いウォーキングなど、気の巡りを促す習慣を日常に取り入れてみてください。ハーブティー(ジャスミン・カモミールなど)も気の流れを助けます。
🩸 瘀血タイプ|血の巡りを良くして代謝アップ
瘀血タイプには、血の巡りを良くする漢方が向いています。代表的なものが桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)。血の巡りをサポートする漢方として、冷えのぼせや下腹部の張りが気になる方に向いています。
過ごし方のポイントは、冷えを予防すること。入浴でしっかり体を温め、生姜やシナモンなど温性の食材を取り入れましょう。適度な運動で血流を促すのも効果的です。
💧 水滞タイプ|余分な水分を出して軽やかに
水滞タイプには、水分代謝を整える漢方が向いています。代表的なものが防已黄耆湯(ぼういおうぎとう)。水太り体質の方で、疲れやすくむくみやすい方に向いています。
過ごし方のポイントは、水分の取り方に気を配ること。冷たい飲み物を避け、常温または温かいものを少量ずつ飲むのがおすすめです。塩分も控えめに。防風通聖散と防已黄耆湯の違いもご参考ください。
🌱 血虚タイプ|まずは身体を整えることから
血虚タイプには、血を補って体を養う漢方が向いています。代表的なものが当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)。冷えや貧血気味で、疲労感の強い方に向いています。
過ごし方のポイントは、無理な食事制限をしないこと。血虚の方は、食事を減らすとかえって代謝が落ちてしまいます。バランスの良い食事で、ほうれん草・なつめ・黒ごまなど血を補う食材を意識しましょう。
しっかり食べられる体力がある方には
便秘がちでお腹周りの脂肪が気になる方には、防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)という選択肢もあります。ただし体質によって合う・合わないがありますので、興味のある方は防風通聖散を1ヶ月飲んだらどうなる?の記事もご参照ください。
漢方と一緒に取り入れたい食事・運動・生活習慣

漢方は体質を内側から整えるのを助けてくれますが、それだけで体重が大きく変わるわけではありません。食事・運動・生活習慣を一緒に見直すことで、よりご自身にとって心地よい体型に近づきやすくなります。
食事
運動
生活習慣
◆ 各ポイントの詳細は以下の通り ◆
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一
和食を中心に主食・主菜・副菜・汁物のバランスがとれた和食は、更年期の体に優しい食事スタイルです。
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二
タンパク質を意識的に魚・大豆製品・卵などを毎食取り入れて、筋肉量の維持を目指しましょう。
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三
体を冷やさない冷たい飲み物や生野菜ばかりに偏らず、温かいものを優先に。
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四
食物繊維をしっかり便通が整うと、代謝も整いやすくなります。野菜・海藻・きのこを意識的に。
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一
有酸素運動を無理なくウォーキング、軽いジョギングなどを1日20〜30分。毎日でなくても構いません。
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二
軽い筋トレをプラススクワットや腹筋を週2〜3回。筋肉量が増えると基礎代謝がアップします。
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三
ヨガやストレッチ自律神経を整える効果も期待でき、気滞タイプの方には特におすすめです。
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一
質の良い睡眠7時間前後の睡眠で、ホルモンバランスを整えましょう。
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二
ストレスケア好きな音楽、お風呂、友人との会話など、自分なりのリラックス方法を持つ。
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三
規則正しいリズム食事・就寝・起床の時間をできるだけ一定に。
体質別の小さな注意点
水滞タイプの方は、「水をたくさん飲む」ダイエット法がむしろ合わないことがあります。喉が渇いたときに、温かいものを少しずつ飲むのが合っています。血虚タイプの方は、極端な糖質制限で疲労感が強くなることがありますので、自分の体調に合わせて調整してください。
よくあるご相談
天心堂薬局にいらっしゃる更年期世代の方々から、実際によくお聞きするご相談をご紹介します。
よくあるご相談 ① / 水滞タイプ
「50代に入ってから、夕方になると脚がむくんで重だるく感じるようになりました。体重も気づいたら5kg増えていて、ダイエットしようと運動を始めたけれど、かえって疲れやすくなって続きません。」
→ このようなケースでは、水滞タイプの体質傾向が見られることが多く、まず水分代謝を整えるアプローチをご提案しています。急な運動より、体を温めながら少しずつ活動量を増やしていく方が、結果的に続きやすい傾向にあります。
よくあるご相談 ② / 気滞タイプ
「40代後半になってから、ストレスを感じると甘いものに手が伸びてしまいます。罪悪感があって、食べた後に落ち込むという悪循環です。どうしたら抜け出せますか?」
→ このようなケースでは、気滞タイプの体質傾向が見られることが多く、気の巡りを整えて感情の波をやわらげるケアをご提案しています。食欲と正面から戦うよりも、根本にあるストレスや気の滞りに目を向けることで、結果的に食べ方が落ち着いていく方が多いです。
よくあるご相談 ③ / 血虚タイプ
「食事を減らして運動も頑張っているのに、全然体重が減りません。むしろ疲れやすくなって、顔色も悪くなった気がします。」
→ このようなケースでは、血虚タイプの体質傾向が見られることが多く、実は「引き算」ではなく「足し算」のケアが必要です。まずはしっかり栄養をとって体を整えることから始め、そのうえで少しずつ活動量を増やしていくと、代謝が上がってくる方が多いです。
よくある質問(Q&A)
Q. 更年期のダイエットに漢方はいつから効果が出ますか?
個人差がありますが、早い方で2週間、多くの方が1〜3ヶ月で何らかの変化を感じられます。体質改善には時間がかかることもありますので、継続的な服用をおすすめしています。
Q. 更年期障害の薬と漢方は併用できますか?
多くの場合併用は可能ですが、処方内容によっては注意が必要です。現在服用中のお薬がある場合は必ずお伝えください。相互作用を確認した上で、安全に併用できる漢方をご提案いたします。
Q. 漢方を飲むと体型はどう変わりますか?
漢方は体質を整えることが目的で、体重を大きく減らすダイエット薬ではありません。体質に合った漢方を生活習慣の改善と組み合わせることで、ご自身にとって心地よい体型を目指せる方が多いです。短期間で大きな変化を求めるよりも、健康的に整えていくイメージでお考えください。
Q. 更年期のダイエットで食事制限はしても大丈夫ですか?
極端な食事制限は、ホルモンバランスをさらに乱したり、筋肉量の減少につながる可能性があり、あまりおすすめできません。特に血虚タイプの方は、しっかり栄養をとることが大切です。体質に合わせてバランスを見直すことが基本になります。
Q. 若い頃のダイエット方法を続けてもいいですか?
若い頃と同じ方法ではうまくいかないことが多いです。更年期の体はホルモンや代謝の土台が変化していますので、体質を見極めたうえで方法を調整することをおすすめします。まずはご自身のタイプを知ることから始めてみてください。
まとめ|体質を知ることから、無理のないダイエットを
更年期のダイエットは、若い頃の「引き算」の発想ではうまくいきません。ホルモン・代謝・自律神経の変化を受け止めながら、ご自身の体質タイプに合ったアプローチを選んでいくことが、遠回りのようでいて一番の近道です。
気滞・瘀血・水滞・血虚——4つのタイプのどれに当てはまるかによって、漢方も食事も運動も、優先順位が変わってきます。「なんとなくよさそう」ではなく、ご自身に合った方法を選んでみてください。
天心堂薬局は1950年創業の漢方専門薬局です。
女性特有の悩みや更年期症状に関する個別相談を長年担当しています。

※この記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の効果効能を保証するものではありません。漢方の服用は、体質やお悩みに応じて薬剤師にご相談ください。
※効果には個人差があります。
監修:天心堂薬局 薬剤師
天心堂薬局(福岡市中央区大名|漢方専門薬局|創業1950年)
漢方相談歴60年以上の薬剤師が在籍する、女性スタッフのみの漢方専門薬局です。
PMS・更年期・不妊・肌荒れなど女性特有のお悩みを中心に、
お一人おひとりの体質に合わせたご相談を行っています。
全国実力薬局100選(子宝・不妊漢方部門)認定。