「また膀胱炎……」——更年期に入ってから、膀胱炎を何度も繰り返すようになったと感じていませんか?
実は、更年期の膀胱炎は若い頃のものとはメカニズムが異なります。ホルモンの変化や免疫力の低下が深く関わっているため、抗生物質だけでは根本的な解決にならないことも。
この記事では、更年期に膀胱炎を繰り返す原因を整理し、西洋医学の治療に加えて、漢方薬による体質改善アプローチやセルフケアまで解説します。

膀胱炎とは?基本的なメカニズムと症状
膀胱炎の原因と仕組み
膀胱炎は、膀胱に細菌(主に大腸菌)が侵入して炎症を起こす感染症です。
女性は男性に比べて尿道が短いため、圧倒的にかかりやすいという特徴があります。通常は排尿によって細菌を洗い流しているのですが、体調が悪いときや免疫力が下がっているときに感染が成立し、症状が出ます。
主な症状
- 頻尿(トイレが近くなる)
- 排尿時の痛み・灼熱感
- 残尿感(出し切った気がしない)
- 下腹部の不快感・痛み
- 尿の濁り・血尿(重症化した場合)
繰り返す膀胱炎の定義
年に3回以上の発症は「再発性膀胱炎」と呼ばれます。抗生物質で症状が治まる→またなる→また抗生物質……というループに悩んでいる女性は少なくありません。
繰り返す場合は、「なぜ繰り返すのか」という視点がとても重要です。次のセクションでは、更年期特有の原因について詳しく見ていきます。
更年期に膀胱炎を繰り返す5つの原因
更年期に膀胱炎を繰り返す背景には、若い頃とは異なる体の変化が関わっています。ご自身に当てはまるものがないか、ひとつずつ確認してみてください。
① エストロゲン減少による膣・尿道の粘膜変化
閉経前後になるとエストロゲン(女性ホルモン)が急激に減少し、膣や尿道の粘膜が薄く、乾燥しやすくなります。
粘膜のバリア機能が低下すると、細菌が侵入しやすくなります。また、膣の自浄作用——善玉菌(乳酸菌)が膣内を酸性に保って雑菌を防ぐ仕組み——も弱まります。
近年では、こうした閉経に伴う膣・泌尿器の変化を「GSM(閉経関連尿路性器症候群)」という概念でまとめて捉えるようになっています。
② 免疫力の低下
更年期はホルモンバランスの乱れから自律神経が不安定になり、免疫機能にも影響が出やすい時期です。疲労・ストレス・睡眠不足が重なりやすく、慢性的な倦怠感を抱えている方も少なくありません。若い頃は問題なかった程度の負荷でも膀胱炎として表面化しやすくなります。
「以前はこんなに頻繁にならなかったのに」と感じる方は、免疫力の変化が大きく関わっている可能性があります。
③ 抗生物質の繰り返し使用
膀胱炎になるたびに抗生物質を服用すると、腸内や膣内の善玉菌まで減少してしまいます。善玉菌が減ると膣内環境が悪化し、カンジダを併発するケースも少なくありません。
さらに、抗生物質を繰り返し使用することで、薬が効きにくい耐性菌が増えるリスクもあります。「前と同じ薬なのに効きにくくなった」と感じている方は、このパターンかもしれません。
膀胱炎の薬を飲むたびにカンジダになる方はこちら 膀胱炎とカンジダを両方繰り返す方はこちら④ 水分不足・トイレの我慢
尿量が減ると、膀胱内の細菌を十分に洗い流すことができません。忙しくてトイレを我慢する習慣がある方はリスクが高まります。
更年期世代では、冷えを気にして水分をとるのを避けがちになったり、頻尿を嫌って意識的に飲水量を減らしてしまう方もいますが、これは逆効果です。
⑤ 冷えと血行不良
更年期はほてりと冷えが交互に来る方も多く、下半身の冷えは膀胱周辺の血流を悪くし、免疫力や粘膜のバリア力を低下させます。
漢方では、この「冷え」が膀胱炎を繰り返す根本原因のひとつと考えることが多く、体を温める力を補うことが改善の第一歩になるケースがよくあります。
病院での治療方法
一般的な治療の流れ
膀胱炎が疑われる場合は、泌尿器科(または婦人科・内科)を受診し、尿検査を行います。細菌性膀胱炎と確認されれば、抗生物質が処方されます。
通常3〜7日の服用で症状は改善します。初めての膀胱炎、血尿がある場合は、必ず受診しましょう。
繰り返す場合の治療
何度も繰り返す場合は、尿培養検査で原因菌を特定し、適切な抗生物質を選択する必要があります。近年はフルオロキノロン系抗菌薬に対する耐性菌が問題になっています。
また、細菌性ではない膀胱トラブル——間質性膀胱炎や過活動膀胱など——が原因の場合もあります。「抗生物質を飲んでもよくならない」という場合は、こうした可能性も含めて専門医に相談することが大切です。
抗生物質だけに頼ることのリスク
- 善玉菌の減少 → 膣カンジダや腸内環境の悪化につながる
- 耐性菌の増加 → 薬が効きにくくなるリスク
- 根本原因(体質)が改善されないままでは、再発を繰り返す
大切なポイント:抗生物質による治療は膀胱炎の急性期に欠かせませんが、「治療しても繰り返す」場合は、体質的な要因を見直す必要があるかもしれません。
漢方で考える「繰り返す膀胱炎」と体質タイプ
漢方では、膀胱炎を「膀胱の病気」としてだけではなく、「体全体のバランスの乱れ」として捉えます。
抗生物質が「細菌を殺す」治療なら、漢方は「細菌が増えにくい体を作る」アプローチ。ここでは、繰り返す膀胱炎によく見られる体質タイプと、それぞれに用いられる代表的な漢方薬を紹介します。
タイプ1「腎虚(じんきょ)」― 冷えて元気が出ない
加齢やホルモンの減少により、漢方でいう「腎」の機能(生命エネルギー)が低下した状態です。更年期の繰り返す膀胱炎でもっとも多いタイプと言われています。
こんな心当たりはありませんか?
- 冷え性(特に足腰が冷える)
- 腰痛がある
- 頻尿・夜間にトイレに起きる
- 疲れやすく、元気が出ない
- 耳鳴り・白髪が増えた
代表的な漢方薬:八味地黄丸 牛車腎気丸
タイプ2「気虚(ききょ)」― 免疫力の土台が弱い
体のエネルギーが不足し、感染症にかかりやすくなっている状態です。体力が落ちていると感じる方や、膀胱炎だけでなく風邪もひきやすい方に多く見られます。
こんな心当たりはありませんか?
- 疲れやすい・だるい
- 風邪をひきやすい
- 胃腸が弱い・食欲にムラがある
- 声が小さくなった気がする
- 汗をかきやすい
代表的な漢方薬:補中益気湯 猪苓湯
タイプ3「湿熱(しつねつ)」― 炎症と余分な水分がこもっている
膀胱周辺に余分な湿(水分)と熱がこもり、炎症が慢性化している状態です。急性期の膀胱炎を繰り返す方に多く見られます。
こんな心当たりはありませんか?
- 排尿時の灼熱感が強い
- 尿の色が濃い
- 口が渇く・冷たいものが欲しくなる
- 体が重だるい
- おりものが多い・色がついている
代表的な漢方薬:竜胆瀉肝湯 猪苓湯
タイプ4「血虚・瘀血(けっきょ・おけつ)」― 血の巡りが悪い
更年期に多い血の不足と停滞です。月経トラブルとの併発が特徴的で、冷えのぼせ・肩こり・頭痛といった不調を同時に抱えている方が多いタイプです。
こんな心当たりはありませんか?
- 冷えのぼせ(足は冷えるのに顔はほてる)
- 肩こり・頭痛がある
- 肌の乾燥・くすみが気になる
- 月経不順・PMSがひどかった
- 目の下のクマが取れない
代表的な漢方薬:猪苓湯合四物湯 当帰芍薬散 加味逍遙散
ご自身のタイプがわからない場合は:体質タイプは複数が重なっていることも多く、ご自身だけで判断するのは難しいものです。漢方薬は体質に合ったものを選ぶことが大切ですので、漢方に詳しい薬剤師や医師に相談されることをおすすめします。

膀胱炎を繰り返さないためのセルフケア
治療と並行して、日常生活の中で再発しにくい環境を整えることが大切です。更年期ならではのポイントも含めて、できることから取り入れてみてください。
1水分をこまめに摂る
1日1.5L以上を目安に、こまめな水分補給を心がけましょう。冷たい水よりも白湯や常温の水がおすすめです。排尿によって膀胱内の細菌を洗い流すイメージで、「飲んで、出す」サイクルを意識してみてください。
2トイレを我慢しない
尿意を感じたらすぐにトイレに行く習慣をつけましょう。就寝前や性行為後の排尿も、膀胱炎の予防として重要です。「もう少し我慢しよう」が膀胱内で細菌を繁殖させる原因になります。
3下半身を冷やさない
冷えは膀胱炎とカンジダ、両方のリスクを上げます。腹巻やレッグウォーマーの活用、湯船に浸かる習慣をつけましょう。エアコンの効いた室内ではひざ掛けを使うなど、足腰を冷やさない工夫が再発予防に役立ちます。
4陰部を清潔に保つ(ただし洗いすぎない)
ナプキンやおりものシートはこまめに交換し、清潔な状態を保ちましょう。ただし、ボディソープでの洗いすぎやビデ・ウォシュレットの使いすぎは善玉菌を減らす原因になります。ぬるま湯でやさしく洗うだけで十分です。
5腸内環境を整える
腸と膀胱は近い位置にあり、腸内の大腸菌が膀胱炎の原因菌になることがあります。乳酸菌・食物繊維・発酵食品(味噌・ぬか漬け・ヨーグルトなど)を積極的に摂り、腸内環境を整えましょう。
特に、抗生物質を飲んだ後は腸内の善玉菌が減少しているため、意識的に腸内環境のケアを行うことが大切です。
6ストレスケアと睡眠
更年期はストレスと睡眠不足が重なりやすい時期です。免疫力の回復は睡眠中に行われるため、十分な睡眠時間を確保することは再発予防の基本です。
完璧を目指す必要はありません。無理のない範囲で「休むこと」を優先してみてください。
よくある質問(FAQ)
膀胱炎を繰り返すと腎臓に影響しますか?
膀胱炎自体が直接腎臓を傷つけることはまれですが、適切に治療しないと細菌が尿管を通って腎臓に上行し、腎盂腎炎を起こす可能性があります。高熱(38度以上)や腰背部の痛みがある場合は、膀胱炎が悪化したサインかもしれません。すぐに受診してください。
更年期の頻尿や尿もれと膀胱炎は関係がありますか?
はい、関係があります。更年期のエストロゲン低下は、膀胱炎だけでなく頻尿・過活動膀胱・腹圧性尿失禁のリスクも高めます。これらの尿トラブルは互いに関連していることが多く、個別に対処するだけでなく、体質全体を見直すアプローチが有効な場合があります。
漢方薬は病院の薬と一緒に飲んでも大丈夫ですか?
多くの場合は併用可能ですが、飲み合わせの問題がある場合もあります。自己判断で併用せず、必ず漢方薬に詳しい薬剤師や医師に相談してから服用してください。
膀胱炎とカンジダを同時に繰り返すのですが、関係ありますか?
はい、深い関係があります。膀胱炎の治療で抗生物質を使うと善玉菌が減少し、カンジダ菌が増殖しやすくなります。「膀胱炎→抗生物質→カンジダ→落ち着く→また膀胱炎……」という悪循環に悩む女性は非常に多く、体質の問題として両方を同時にケアする視点が大切です。
まとめ
更年期に膀胱炎を繰り返す原因は、ホルモン変化による粘膜のバリア低下や、冷え・免疫力の低下など、体質的な要因が大きく関わっています。
まずは泌尿器科での適切な治療が基本ですが、抗生物質だけでは解決しない場合は、漢方薬による体質改善も選択肢のひとつです。
ご自身の体質に合ったアプローチを、専門家と一緒に見つけてみてください。

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※この記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、医学的なアドバイスを提供するものではありません。具体的な症状や治療については、医師や薬剤師などの専門家にご相談ください。
※効果には個人差があります。
監修:天心堂薬局(福岡市中央区大名1丁目15番7号)|1950年創業・漢方専門薬局|日本中医薬研究会会員店|全国実力薬局100選 子宝・不妊漢方部門認定